ロジクール Ultimate Ears 600vi 高遮音性イヤフォンを音質評価
Fans:Fans の「iPhone対応! ロジクール・高音質、遮音性イヤフォン Ultimate Ears モニター」でロジクール Ultimate Ears 600vi 高遮音性イヤフォンのモニター評価をさせていただくことになりました。
僕を知る人はご存じのことと思いますが、オーオタ(オーディオオタク)一歩手前の音マニアです。音の好みはオーディオテクニカ ATH-AD2000 や Etymotic Research hf5, ER-6i を所有していることからご想像できるように、音楽的に楽しい音は二の次で、原音忠実・透明感・分解能を重要視しています。そのような観点で評価していると思って記事を読んでいただけると幸いです。
Ultimate Ears 600vi の技術仕様(スペック表)
まず Ultimate Ears 600vi の技術仕様(スペック表)です。インピーダンスが13Ω,感度115dBなのでiPhoneなどポータブルオーディオでも十分すぎるほどの大音量が出力可能です。
イヤフォンタイプ | インイヤー(カナル型) |
ドライバータイプ | トップファイア型アーマチュア |
周波数特性 | 20 Hz 〜 20 kHz |
インピーダンス | 13Ω |
入力感度 | 115 dB SPL/mW |
ノイズアイソレーション(遮音性) | 26dB |
マイク周波数特性 | 200 Hz 〜 10 kHz |
マイク入力感度 | -58 dBV/Pa |
開封の議
Ultimate Ears といえば思い浮かべるのはやはり TRIPLE.Fi 10 です。Ultimate Ears 社が販売する超高級イヤフォンの代名詞のひとつでもありました。それが知らない間に 2008 年の Logitech International社に買収され今に至るわけですが、Etymotic Research hf5 を手に入れてからイヤフォン業界をウォッチしていない間に業界もずいぶんと変わったようです。
今回モニターをするにあたり、改めて今のイヤフォン界隈を調べてみると、かつての超高級イヤフォンも知ってる価格の半額以下に値下がり、今やずいぶんと手が届く価格帯で販売されるに至りました。ER-4 シリーズが 15,000 円程度で手に入るとは信じがたいです。そして気になる Ultimate Ears シリーズですが、Logitech に買収されて商品ラインナップもずいぶんと変わり、いちマニアとして当時の品質が担保できているか非常に心配でした。結論を言うと心配は杞憂に終わりました。
そしていよいよ UE600vi の商品到着。実売価格 8,000 円にしてはパッケージが高級品並です。
イヤーチップも5組のソフトイヤーチップ(XXS、XS、S、M、L)と2組の低反発ポリウレタンフォームチップが付属しています。個人的にはソフトでも XSS じゃないと耳にフィットしませんでした。しっかりと耳の奥に入る感じじゃないと UE600vi の真価は発揮されないので、ご自分の耳にマッチしたイヤーチップを選ぶところも非常に重要です。
実際イヤーチップを聞き比べてみると、音質と遮断性はポリウレタンの方が明らかに上と感じます。特に重低音が強調される印象です。一方で耳への圧迫感があるため違和感を感じる人も多いと思います。
音質レビュー(評価)
いよいよ音質レビューです。
正直に言います。初期状態では音のこもりが酷くて聴くに堪えない。というのが第一印象です。そこでエージング作業に即座に入りました。エージングに用いた音源は youtube にアップされている
「[解放軍]Magic sound Loud speakers to improve スピーカーの音をよくする魔法音」
を使いました。エージングで音質が良くなるなんて気のせい、人間の耳の方が慣れてくるなど、いろいろと批判を受けそうですが実際音が変わるから仕方がない。
エージング用音源は超低音から超高音まですべての周波数を含むホワイトノイズです。そのホワイトノイズを丸一日ほど大音量で再生することで音慣らしするわけです。
そして改めて音質評価。あくまでも一個人の感想です。hf5 との比較がメインです。
試聴環境は静かな部屋で iPhone4 にオーディオテクニカ at-pha31i を経由して音を評価しました。音楽はクラシック、JPOP、アニソン、ゲーム音楽と実にいろいろと試しました。
- hf5 と比較するとやはり透明度・明瞭さはひとつ下に感じる。障子一枚分の差を感じる。
- 音場の広さは hf5 を上回る。前面に広がる感じではなく耳の延長線上に広がる感じ。
- 音楽的な楽しさは UE600vi が圧倒的に上。原音忠実性は hf5 が上。
- 音の傾向はカマボコ型に感じるが中低音の情報量が多く、音に厚みを感じる。
- 分解能は hf5 が上。
- 空間表現(音の定位)は hf5 が上。UE600vi は音の位置がぼやける。
- 音の遮断性は UE600vi が上。外界との音はほぼ完全にシャットアウトされる。
そして僕の総論ですが、通勤時に聴くなら hf5 ではなく UE600vi を使います。ある程度環境がうるさい場所で音の厚みを感じることができるのが理由です。逆にピュアオーディオに接続するなら hf5 です。入力される音の品質が良く中低音もほどよく出る環境であれば、カマボコ型よりもフラットで原音忠実で分解能とクリアさが上の hf5 の方が音に浸れるからです。
この系統の音は昔 SHURE 系のイヤフォンを使っていたとき以来で新鮮でした。
そして結論ですが、原音忠実性を求めるなら他のイヤフォンをオススメしますが、音の情報量や明瞭さを求めつつも音楽的な楽しさを好む方には、かなりオススメのイヤフォンであることは間違いないでしょう。
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